医療安全管理室

医療安全管理室での活動

名古屋市立大学病院 医療安全管理室の薬剤師に関する業務紹介です。

主な業務

  • インシデントの分析と対策
  • 倫理・安全面などに配慮した医療の提供
  • 医療安全活動の推進

活動内容

安全で質の高い医療の提供を目指して、多職種で組織横断的に活動しています。
薬剤師は以下に紹介する活動の中で、主に医薬品に関わるところを担当しています。

インシデントの分析・対策

病院ではインシデント(患者さんの診療やケアにおいて、本来のあるべき姿からはずれた行為や事態など)が発生します。当院では年間約5000件のインシデントが報告され、最も多いのが処方・与薬など薬に関するエラーです。医療安全管理室はインシデント報告をうけると、患者さんへの影響度、そして発生部署での要因分析や再発防止策が適切であるかを確認し、支援を行います。また、多角的な改善(システム改善や複数部署を跨ぐ改善等)が必要な場合には医療安全管理室が牽引役となり、病院組織全体で対策をたてます。

薬剤部でのRCA分析(インシデントの根本原因分析)

未承認新規医薬品等を用いた医療提供の適否等の決定

未承認新規医薬品等とは医薬品、医療機器のうち医薬品医療機器等法の承認を受けていないもの、承認を受けているが適応外となる使用、禁忌に該当するもの等を指します。それらを用いた医療提供について、医師、薬剤師、その他の関連職種で、医学的に妥当であるか、倫理・安全面に問題ないかを評価し、適否を決定しています。さらに承認後、実際に医療が実施された患者さんのフォローアップを行い、有効性、安全性を確認しています。未承認新規医薬品等の審査以外にも、医療安全管理室では高難度新規医療技術を用いた医療の提供について同様に係わっています。

倫理コンサルテーション

診療・ケアに関して、患者さんの手術拒否など倫理的ジレンマを感じるケースや、倫理的な価値判断が難しいケースに遭遇することがあります。そのような時、当院では倫理コンサルテーションチームに相談し、診療・ケアにあたる関係者とチームメンバーが共に倫理的問題について考え、どのような選択が最善か検討を行う仕組みがあります。倫理コンサルテーションチームは多職種で構成され、その一員として活動しています。

倫理コンサルテーションのポスター

医療安全共同行動グループ・医療安全巡視

医療安全を担当している各診療科や部門のセーフティマネージャーと共に、医療安全上の問題点に対して毎年テーマを決め、グループで改善にむけて活動しています。またセーフティマネージャーと共に、定期的な院内巡回活動(医療安全巡視)を実施することで、現場教育、安全点検を行い、病院全体の医療安全文化の醸成に取り組んでいます。

共同行動グループでの活動

医療安全巡視での活動

他病院との連携

他病院と毎年相互に実地調査を行い、技術的助言を行っています。当院では、特定機能病院間での相互チェックに加え、名古屋市立大学附属病院間でも相互チェックや情報交換を行い、医療の安全の確保と質の高い医療の提供に日々努めています。

相互チェック(コロナ禍のためオンラインで実施)

教育活動

医療安全に関する講演会・研修会の企画運営をしています。医療安全管理室の薬剤師は、主に医薬品の安全管理や未承認新規医薬品等の使用についての職員研修を担当し、医学部や薬学部でも学生講義を行っています。また年に1回、医療安全管理室と医薬品安全管理責任者(薬剤部長)が主催する医薬品安全管理講習会では、薬剤部の薬剤師が安全な管理が必要な薬剤(麻薬など)について講演するなど、薬剤部と連携しながら院内教育を行っています。

医薬品安全管理講習会