TDM

TDM

TDMとはTherapeutic Drug Monitoring(治療薬物モニタリング)の略で、治療効果や副作用に関する因子を継続的にモニタリングしながら、患者ごとに個別化した薬物投与を行うことです。
実際の臨床では、血中薬物濃度などの患者情報に基づいたTDM解析を実施し、ガイドラインに明記されている治療指標に準じた投与設計を行い、主治医に処方提案しています。薬物動態学および薬力学の知識を用いた薬物治療支援は薬剤師の職能の一つです。現在は、病棟薬剤師がTDM対象となる抗菌薬の初期投与設計ならびにTDM解析を担っており、多職種で連携しながら、安全かつ効果的な薬物治療を支援しています。
また、医学部・薬学部の5年生を対象とした病院実習では、臨床薬物動態学の基本的な考え方を説明した上で、実際にあった症例をベースにTDM解析の原理や手法について説明しています。私たちは、薬剤師に限らず全ての医療スタッフがTDMについて理解を深める機会を提供したいと考えています。

TDM支援ソフトSAKURA-TDMの紹介とダウンロード方法について

近年、抗菌薬TDMの領域ではModel-informed precision dosing(MIPD)の概念が普及し始めています。MIPDとは、数理モデルに基づいた血中濃度予測の限界を理解した上で、合理的かつ精密な投与設計を行うことです。2022年2月に国内の抗菌薬TDMガイドラインが改訂され、バンコマイシン(成人)の項目でMIPDが臨床導入されました。具体的には、治療指標がトラフ値から血中濃度–時間曲線下面積(AUC)の推定値に変わり、今後、他のTDM対象抗菌薬や小児領域でもAUCを治療指標とする動きがあります。

当薬剤部では、本改訂に伴った新しい解析方法に対応できる新規TDM支援ソフトSAKURA-TDMを開発しました。本ソフトは、初期投与設計とTDMの両方に対応しており、2回目以降のTDMでは前回のトラフ値を初期値とした解析を実施することができます。また、AUC(定常状態および非定常状態)の推定値が自動計算され、患者情報の入力から血中濃度予測曲線の描写および推奨投与量の算出までの一連の操作を自動化していることから、入力操作ミスなどのヒューマンエラーを軽減できる仕様となっています。さらに、解析結果を電子媒体で保存することができ、実臨床だけでなくサーベイランスや臨床研究、教育の場など幅広い用途で利用することができます。ぜひ、一度本ソフトウェアをダウンロードして使ってみてください。

※クリックするとPDFが開きます

SAKURA-TDMのダウンロード(アンケート付き)

SAKURA-TDMの操作説明書(PDF:17.5MB)

SAKURA-TDM YouTube公式チャンネル

SAKURA-TDMに関する問い合わせ窓口

SAKURA-TDMに関するご質問等ございましたら下記のメールアドレスにお問い合わせください。本件に関する当院への電話やFAXは、業務の支障となりますのでお控えください。

名古屋市立大学 大学院医学研究科 臨床薬剤学
堀田康弘
E-mail: sakura.tdm39@gmail.com